運輸安全委員会委員長の定例会見の不可思議さ
1月23日、ようやく運輸安全委員会の武田委員長が定例会見の中で、日航516便に関して語った。事故発生国としての今更ながらの遅まき会見であった。
自ら世界的に関心が高い事故、と言いながら今頃の会見、しかも定例として行っていることにまず違和感があった。そして、その武田委員長というお名前が39年前の日航123便の事故調査委員長の武田峻氏と同じ武田という苗字であることに、偶然にしても驚いた。
その会見中、おかしな発言がいくつかあった。まとめると次のようなことである。
「ボイスレコーダー等は国際ルールの決まりであってそのままお伝えすることはしてはならない。安全にかかわることだと判断すれば、その時こちらで中身を精査して判断する。安全に資することだと判断すれば公開はするが、生のデータは開示できないきまりである」
私は耳を疑った。どこにそんな決まりがあるのか?
だったら、三十九年前の日航123便の報道での公開は何なのか。その後条約は改正されてはいない。しかものちに、市販のDVDにまでなっている。さらに具体的に言えば、ニューデリー事故のNHKの報道は生データのボイスレコーダーである。そんな決まりがあれば、こんな報道すらできないだろう。
記者たちの質問に対して、武田委員長は口を一文字に閉じてうなずき、不都合な部分は声を発しない、代理人が答えるなど、武田氏のドキドキ感が映像から伝わり、完全に逃げておられるのが明確にわかった。
今回は、各国(英国、カナダ、フランス、ドイツ、米国)による新鋭機の調査も行われている世界的関心度の高い中でのこのいい加減な会見は、日本国として恥ずかしい。
最高裁でボイスレコーダーを開示請求している今だからこそ、こんな無責任な会見になったのだと推察した。
会見のライブ映像はこちらをご覧ください。
www.youtube.com 特にボイスレコーダーで右往左往しながら答える姿は、30分以降
そんな中、1月24日はJALのエアバスA350-1000のニューヨーク線お披露目報道があった。まるで羽田炎上事故はどこ吹く風~といった表情の赤坂社長であった。
なお、この運輸安全委員会の過去の事故のページをご覧いただければわかるが、ボイスレコーダーは、たとえば一例として名古屋空港で発生した中華航空事故が完全に抜け落ちずに公開されている。他国の飛行機だと、そのまま開示するのだろうか?
日本航空はしないきまりでもあるのだろうか?
以下、参照のこと
96-5-B1816
中華航空公司所属 エアバスインダストリーA300B4-622R型 B1816 愛知県名古屋空港 ボイスレコーダー記録部分(233頁より)
https://www.mlit.go.jp/jtsb/aircraft/download/96-5-B1816-09.pdf
ついでに、日航123便の「異常外力着力点」もご覧ください。
62-2-JA8119(航空事故調査報告書付録)
日本航空(株)所属 ボーイング 747SR-100型 JA8119 群馬県多野郡上野村
(JA8119に関する試験研究資料)
https://www.mlit.go.jp/jtsb/aircraft/download/62-2-JA8119-huroku.pdf
特に、P95「18時24分35・70秒において~約24キロ・ポンド(約11トン)の前向き外力が作用」
P101 「~それぞれ異常な外力が作用したことが確からしく考えられる」
p116 「垂直尾翼に黒丸で記された異常外力の着力点」
どうぞじっくりと映像ならびに事故調査報告書をお読みください。
なお映像でボイスレコーダーについて曖昧な発言は後半です。
大学へのJALの懐柔作戦について加筆をしたため別のページに移動しました。