この裁判にかける思い 吉備素子
裁判の報道以来、多くの皆様から、励ましのお言葉を頂戴して本当にうれしく思っています。
『青山さんや、ご遺族の方々の納得がいかないことに対しては、あくまで日本航空が全面的に対話し説明すべき立場にあります。520名の方々への供養のためにも、ご遺族の疑問に応えるためにも、疑問を持つ多くの国民のためにも、生のボイスレコーダーやフライトレコーダーを、日航は開示していくべきです』
こういった声がたくさん寄せられました。それらを読んで、涙が出ました。私らは、何十年もこの言葉を言い続けてきました。そしてようやく、裁判までたどりついたわけです。本当に長い道のりでした。
つい先日、私は腹痛で救急車に乗り、入院をしました。「長年腹部にあたためておったんねん」とお医者の先生に言われ、ガン細胞を取り除く手術をしました。幸い他に転移もなく、お蔭様で元気に退院いたしました。
「私は今、裁判しているから絶対に死ねません」と先生に言いましたところ、「まだまだ頑張らなきゃならないね。成功させるから大丈夫。」と励まされました。本当に元気にしてもらってありがたいことです。
日本航空側の弁護士先生は、私の入院を知って、「やれやれ、これでうるさい遺族がいなくなれば、裁判は最後までやる必要がないから助かる」とでも思っているでしょうが、そうはいきません。
意地でも長生きさせてもらいます。
さて、皆さん、よく考えて下さいませんか。
私らは、ただ、日航が持っているものを聞かせてほしい、見せてほしい、と言っているだけです。戦っているわけでもありません。情報を開示してほしい、ということだけです。何も疑いがないならば、30年以上も経っているのだから、正々堂々と出せばよいのです。ボイスレコーダーを聞かせればよいだけです。
一緒にいてくれている市原和子さんは、本当に宗教心のある素晴らしい方で、私のこの思いを汲んで、キリスト教精神に則り、私を助けてくれました。
乗客の遺族と乗務員の遺族は異なるとおっしゃっていましたが、それでもなお、弟さんへの姉としての思いと長年の苦悩を語っておられ、弟さんが操縦する飛行機が落ちたということの苦しみで、長年心を閉ざされていたと聞きます。でも、新たな事実を知り、弟さんが操縦していた日航123便に乗っていた私の夫のためにと、ありがたく力を貸してくれたのです。元日航社員として、ずっと調査してくれている青山さん同様です。パイロットとしての弟の責任と義務を自分がしっかりと受け継ぐというお考えのお持ちの方で、本当に頭が下がります。
本来ならば,歴代の日本航空社長自らが明らかにすべきことなのです。
36年前、私の前で、高木社長(当時)は、
「中曽根首相に殺されるから、自分は何もしたくない、嫌だ」という情けない態度でした。
それに比べれば、青山さんもそうですが、市原和子さんは、大変立派な方です。本当に感謝しています。この場を借りてお礼いたします。そして、皆さんからも市原さんへ賞賛の声が上がっていることをお伝えします。本当に有難うございます。
しかしそれとは逆に、なぜ、日航社員が率先し、さらにマスコミまで協力して、墜落原因を追究する人の陰口やら誹謗中傷をするのでしょうか。
公共交通機関ならば、乗客を死なせたばかりか、墜落原因をうやむやにするなど、許されるはずはないです。
今でも、日航は、陰ながら私らに、なにかしらの圧力をかけてきます。墜落原因に疑問を持つ遺族のサポートをしてくれる人の悪口も平気で言います。そして、訴訟をしたのは、その人たちに「そそのかされたからだ」と恥知らずのことをいってきます。
また、親戚の口を借りて、日航に職を得ている人が、例えば、すでに機長になっているにもかかわらず、訴訟のせいで機長になれないとか、会社を辞めなければならないとか、事実と異なることを言い、さも私らが悪いように言ってきます。私らの弁護士の先生方の悪口も言いたい放題です。どこの誰がそう言え、といっているんでしょうか?
物事、言って良いことと悪いことがありますが、これらは絶対に言ってはいけない、悪いことです。
これで、お茶を濁して生きていく人生は後ろ暗いはずです。日航の皆さんも、これからずっと、誰かの言いなりになって、暗い過去を引きずっていくのですか?もっと直視し、この問題を解決しなければならないと思います。
青山さんの公式サイトをご覧になった方々、この事件を一刻も早く解決できるように、そして、私らを支えてくれている人たちをどうぞ応援してください。皆さんの思いやりとやさしさは、必ず日航と、その後ろにいる人たちの嘘に打ち勝つと思っています。
どうぞよろしくお願いします。
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以上、吉備素子さんからのメッセージでした。
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管理人です。
心を打つ感動の著作、あの日あの時の様子が手に取るようにわかる、文庫版「日航123便墜落 疑惑のはじまり」がお蔭さまで好調です。
解説文は、東京第二弁護士会会長や関東弁護士連合会理事長、総務省・情報公開法の制度運営に関する検討会委員、内閣府・公文書管理委員会委員・特定歴史公文書等不服審査分科会会長等を歴任された、三宅弘弁護士です。日航123便ボイスレコーダー等開示請求訴訟弁護団団長でもあります。
また、青山透子の新たな後書きでは、未来の在り様について直球で書いておりますので、ぜひお手に取ってお読みください。これこそが、私たちの進むべき道だ、という感想も届いています。
なお、評論家の佐高信氏による書評も出ていますので、こちらもどうぞ御覧下さい。
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