青山透子公式サイト 日航123便墜落の真相

日航123便墜落事件の真相を追究するー歴史的裁判開始の幕開け

あり得ないことはない 青山透子

今年、強制的に日常が変えさせられ、あらゆる常識が覆り、何もかもが猛スピードで過ぎていった1年だったといえるのではないでしょうか。

さて、皆様のおかげで新刊本「日航123便墜落・圧力隔壁説をくつがえす(河出書房新社)」を世に出すことが出来ましたことに深く感謝申し上げます。特に今回の新刊本は、国内外の専門家や英国の日航123便関係者、弁護士の皆様に大変好評を得ました。日本国および米国の公文書を読み解き、英文解釈も入っていますので、少々一般の方には難しかったかもしれませんが、情報公開等の専門分野の方や法律を学ぶ大学生の教材としては最適だとのお言葉も頂戴しました。また、整理整頓された事件の流れは十分に裁判に通用するとの評価も頂きました。

コロナ禍だからこそ、明日何が起きる分からない今だからこそ、文章が心に強く語りかけてくると書かれたお手紙に大変励まされました。

真実の価値を見出して下さった読者の皆様、感想文をお寄せ下さった皆様、本当に有難うございました。

さて、今年の冒頭には、イラン軍による自国発の航空機誤射事件が起きました。現在は衛星画像も含めて一般人がアクセスし、検証できることによって真実が明らかになりやすくなったという一例だと思います。それによって、イラン国軍も遺族に向き合い、国として謝罪したことは、記憶に新しいと思います。

実はフランスでも52年前の1968年9月11日、エールフランス航空1611便が、エーゲ海で演習中のフランス海軍艦艇から発射された艦隊空ミサイルにより誤射されて墜落するという事件が起きていました。航空管制が遭難信号を受信した際、スクランブル発進がかけられて真相がわかったにもかかわららず、これらの事実は長年隠蔽されたままで、当初は、墜落原因はトイレの火災と言われていたのです。飛行ルート真下で行われていたフランス海軍による軍事演習の日誌は、その日の部分が引きちぎられ、海底の残骸はフランス軍当局に没収されたまま、ボイスレコーダー等も全て破壊されてうやむやとなりました。全てが日航123便と同じ状況です。

昨年遺族が、実は自国軍による誤射だと知り、エマニュエル・マクロン大統領に訴え続けるとともに、元フランス陸軍兵士Michael Latyも実体験を語り、航空機が目標から外れてエンジンの1つに衝突した熱探知ミサイルによって攻撃された、とメディアに話をしました。彼は勇気ある真実を語る本物の英雄となったわけです。

現代と冷戦時代とは全く異なります。さらに携帯電話もない時代、真相をもみ消すには今よりも随分と簡単だったわけです。

肉親の死が誤射であることについて、いまさら国益のためとか軍事機密などという言い訳は通用しない、51年間も機密扱いにする必要性などないとして、真実を知りたいという遺族が、お金はいらない、正しい情報を開示してくださいという訴えを昨年されました。そして、元兵士の証言も得て、フランス国防省は、軍の大臣であるフロランス・パルリ(Florence Parly)が機密解除を決定したと述べました。

あのフランスに出来てこの日本で出来ないことはないはずです。フランス同様、自国民として関わった私たちが明らかにする義務があります。そして、それこそが一流の国民であると認識されることでしょう。逆に、そこにスポットを当てようとする人を貶め、他の理由や屁理屈をこねて、誰もが当たり前に望む情報公開を妨げる人こそ、国益に反している人と言わざるを得ません。

フランス軍兵士のように、また当時の航空管制官の人も含め、今こそ真実を語る日本人が出てくることを、ご遺族は心から願っています。

オリジナルの記事は次の通りです。

'We need to hear it': families' 51-year wait for truth about French plane crash | World news | The Guardian