「日航123便あの日の記憶 天空の星たちへ」公式ブログ

1985年に起きた日航123便墜落事故を、当時日本航空スチュワーデスとして勤務していた著者・青山透子が、事故の真相を追い求めて綴ったノンフィクション

映画「大空港(1970年)」とボイスレコーダー

久しぶりに昔の映画「大空港」を観ました。ジャクリーン・ビセットがグエンというスチュワーデスの役で、カッコいい、行動的な女性を演じています。123便で亡くなった藤田香さんに似ています。乗客が持ち込んだ爆弾の爆風でケガをしてしまうのですが、そのプロ意識がそっくりな気がしました。

映画の後半部分は、機内に爆弾を持ち込んだ乗客が後部トイレで爆発をさせてしまい、急減圧が生じて緊急着陸するという流れになっています。トイレの中で外に穴が開き、機内にあるものが散乱し、人が吸い出さされそうになり、機体は急降下し、客室乗務員は酸素マスクをつけながら寒さ防止のために毛布を配り、コックピットでの対応も実に本物そのもので臨場感溢れる内容でした。これが科学的視点で考える急減圧というものです。

そこで驚くべきシーンがありました。スコーク7700にダイヤルを回すシーンです。そして次の瞬間、そのコックピット内のやり取りや私的な会話すべてがオープン状態となり、管制塔内の何十人もの人々、カンパニー(自社の無線)、空港ターミナルでの傍受等、実に多くの人たちがコックピットの会話を聞いています。

つまり、あれだけ多くの人たちがあの日の会話をきいたことになります。そしてコックピット内の会話は全てスピーカーから流れ、交信しています。ボイスレコーダ―には管制塔からの会話、地上係員(カンパニー)との会話、お互いのやり取り、全てが入っていなければおかしいのです。なのにJAL123便の公表は機長、副操縦士、航空機関士のみの会話だけ。これは当然おかしいと思い直して、他の航空機事故でもそのような事故調査報告書にしているのかと、調べてみました。

すると驚くべきことがわかりました。例えば平成21年8月28日に運輸安全委員会が出している「中華航空公司所属B18616」ー中華航空のB-737型機が沖縄で火災事故を起こした―この報告書をぜひ見て下さい。最後に別紙があり、そこにはP85~コックピット内の会話にしっかりと地上や管制塔とのコンタクトも含めた形で記録されています。さらに89~からは管制塔の交信記録もしっかりと書いてあります。これがアドレスです。

https://www.mlit.go.jp/jtsb/aircraft/rep-acci/AA2009-7-2-B18616.pdf

123便では、墜落のショックでも完璧な状態で発見されていましたから、壊れていた、という言い訳もできません。1985年当時は出来なかったという理由はありませんし、今からでもできるはずです。

なぜ123便だけがあの管制塔側の会話がない、つまり話している相手側が、発表していないものを私たちは鵜呑みにしていたのでしょうか。本当に相手の思うつぼというか愚かでした。

これに気づいたのは、ある読者からの手紙です。実は神戸に住んでいらっしゃる読者の方はすごく耳がよく、お子様にも地獄耳?と言われているそうで、ネット上に公開されている123便ボイスレコーダーの会話をよく聞くと、公表されて書いてある文字以外の事が聞き取れる、ということです。また判読不明の部分もなんかこう言っている、と書いてくれました。それでもう一度事故調査報告書を見て、偶々大空港を見て、そういえば緊急時は会話がスピーカーから流れてオープンなのに、コックピットの会話が一方からのみで変だと気づきました。

神戸の読者の方は、このようなことだけでも33回忌の供養になるかなあと勇気をもって手紙を書いてくれたそうです。本当に丁寧な手書きの手紙で私は思わず涙がでました。こうやって一人ひとりが本当に自分の事のように思って考えてくれているのですね。

あの日、あの時、いろいろな事を現場で聞いた方、32年も前のこと、法的に何の縛りもない、しかし心の縛りが恐れに繋がっているのでしょうが、遺族はもう高齢です。ぜひ、いまこそお知らせくださいますか。出来れば早くお知らせください。すぐに8月12日が来てしまいます。自分に抱え込んだ未公表の部分を今こそ勇気をもって出してほしいと願います。