青山透子公式サイト 日航123便墜落の真相

日航123便墜落事件の真相を追究するー歴史的裁判開始の幕開け

日航123便に関する報道について 青山透子

 

8月12日でもない今頃の時期に、日航123便を取り上げ、誤情報の垂れ流しともいえる「懸命に操縦したパイロット称賛」と「隔壁の修理ミスにすり替えた」番組が、日航の依頼でまた出てくるらしい。

まず考えられるのは、西日本新聞のスクープを装った記事「隔壁検査急いでいれば(署名:野間あり葉記者)2022年8月12日付」の調査不足の記事をもとにした番組であろう。

この記事は、墜落の前から隔壁の点検を提言していたことをネタとして、元事故調査委員の斎藤孝一氏(1985年当時は委員というより見習いだった)へのインタビューや、ボーイング社のサービスブリテンをもとに書かれていた。つまり、日航の整備士が墜落の前から隔壁の点検をするよう依頼していたのに日航の上層部はしなかった、といった内容だろうと推定する。これについてはスクープでもなんでもなく、すでに当時の新聞記事に書かれており、さらに1999年から元日航社員の藤原源吉氏による工学雑誌への投稿論文に、そのいきさつが詳しく書いてある。詳細は、拙著「JAL裁判」の269ページから279ページをじっくりとお読みいただきたい。

しかしこの説は、2013年に事故調自らがホームページにて公開した、研究資料によって打ち砕かれた。つまりこれが直接の原因ではない、と明確に書いてあったのである。(事故調査報告書79ページ、事故調査報告書付録95ページ、101ページ、116ページ参照のこと)

読者の皆さん、これらのページをしっかりと読んでから番組を検証していただきたい。

それをいまさら番組にしたとすれば、情報不足どころか、基本的な勉強もせずに作ったお粗末な番組、となる。

次に、出回っているボイスレコーダーのシロモノについて事実を述べる。

当初、善意の第三者がマスコミに匿名で配布したと、誰もが思っていた。

しかし、その後の調査によって、これは都合よく改変されたものであることがわかった。さらに前後を入れ替えることによって、高浜雅己機長へのバッシングが止まり、逆に称賛されることとなった。実はそれが狙いであった。

裁判開始後、ボイスレコーダーを市販の本のDVD付録にした、しんぶん赤旗日本共産党機関紙)の元記者の米田憲司氏は、訴訟開始後に原告の吉備さんに突然電話をかけてきて「裁判を取り下げるべきだ」と強要したのである。吉備さんは、電話番号も教えていないのに、誰から聞いたのかと大変驚かれていた。不愉快であったという。

米田氏は以前、高浜雅己機長の奥様と古くからのお知り合いだといっていたが、いくら友人だからといって、そんな電話をすること自体がジャーナリストと称する資格などあるのだろうか。ここからわかることは、吉備さんに訴訟をされると、高浜機長への称賛が、逆もどりとなってしまうからである。さらに、米田氏の本の付録につけた代物の真偽が問われかねず、本物のボイスレコーダーを聴かれてはまずいからであろう。

これは、あきらかに原告(上告人)である吉備さんへの圧力である。

そんな代物をことさらに強調し、その片棒を担ぐような報道は、元赤旗記者の米田氏の思惑にのっかることになる。

世論を被上告人のJAL側にとって都合のよい方向に導きたい、そんな思惑にマスコミがのっかってはいけないのである。

さらに、これは裁判中における重大なルール違反である。大企業がスポンサーとなって、金にものを言わせてマスコミに対して行う権限乱用であって、JALの行為は、まるでビックモーターやジャニーズ事務所問題と同様ではないか。マスコミは反省したのではないのか???

今後、遺族が起こした「生のボイスレコーダーを開示せよ」という裁判を無視して、「異常外力着力点」について一切触れずに都合よく改変した番組は、被上告人のJALに加担したことになる。マスコミは「知らなかった」では済まされず、制作者の責任が問われることぐらいはわかるはずだ。

 

 

最高裁の審理中の最中に、被上告人であるJALパイロット称賛のために、市販のボイスレコーダー(都合よく改変された代物)を使用する日航123便の民放番組には、皆さんご注意を!

もしも、原告側が出している裁判証拠の「異常外力の着力点(2013年に事故調査委員会が公表)」を取り上げることなく、これらを無視し、1985年当時の推定のままである「後部圧力隔壁説」以外をトンデモ説と称して茶化してこれを否定した番組の場合は、放送倫理に反する偽情報として、責任を問い、断固抗議をします。

 

なお、ビックリ仰天の番組を監修したという杉江弘さん、必死にパイロット仲間をかばいたい気持ちはわかりますが、あいかわらず使い古した「フラッター説」という非科学的な論を張り、客観的事実や裁判を無視し、「だって異常外力着力点なんて知らなかったから~」とメールで読者に返信をしたあなたが、今回は「知らなかった」ではすまされません。もはや情報不足による言い訳は許されず、一体どういうつもりで監修をしたのか、監修者としての責任をご自身の胸に手を当ててじっくりお考えください。