「日航123便墜落―遺物は真相を語る・天空の星たちへ」公式ブログ

1985年に起きた日航123便墜落事故を、当時日本航空スチュワーデスとして勤務していた著者・青山透子が、事故の真相を追い求めて綴ったノンフィクション

相次ぐ大量飲酒の実態とパイロットのモラル低下 

まず先に本屋大賞ノンフィクション部門の大賞は逃しましたが、全国の書店の皆様には本当に感謝の気持ちで一杯です。手作りポップでの応援やご支援に心から感謝いたします。また沢山のお手紙お葉書有難うございます。良識ある皆様の応援と様々な見解、ご意見など有難く思っております。本当に有難うございました。

私の中で思うノンフィクションとは、社会性を持つ様々な出来事の中で忘却の彼方に追いやられそうな出来事を鋭い視点で指摘し、客観的で詳細な調査の結果、しっかりと事実を見つめながら目をそらすことなく書く、それが本物の未来への提言につながると思っております。世の中に迎合するのではなく、真の事実を書き続けていくことが重要だと思います。

今後ともどうぞよろしくお願い致します。

 

さて、日航パイロットのロンドンでの逮捕のみならず、他社でも大量飲酒が発覚しています。一体今あの狭いコックピット内で何が起きているのでしょうか。

その昔の1982年2月9日の羽田沖墜落事故では、DC-8という空の貴婦人と呼ばれたダグラス社のすらりとした飛行機が、心身病という精神的な病気を抱えた機長による滑走路手前での逆噴射によって海上に墜落しました。以前からその機長の言動がおかしいと気づいていた同僚たちや副操縦士たちが、なかなか声を上げることが出来ずにいたことや、家族も気づいていたにもかかわらず会社の医療機関のチェックをすり抜け、彼を地上勤務にすることも出来ずにいた結果、乗客乗員の死傷事故を引き起こしました。それ以降、たとえ上司であってもお互いに意見し合える環境を作ろう、機長であっても間違いはある、副操縦士がそれを報告したからと言って自分の昇進には響かない、風通しの良い職場環境を作ろう等々、様々な対策がとられました。

しかしながら、今回の逮捕者は副操縦士です。逆に上司の機長が二人もいたにもかかわらず、地上職が目と鼻の先で航路に関するブリーフイングをしたにもかかわらず、もっと言えばホテルからタクシーで(クルーバスで)運行乗務員、客室乗務員たちが一緒に移動していたにもかかわらず、一切誰もがその副操縦士の臭気や大声を上げていたことを指摘して降ろすことを主張しなかったという、異常な状況だったということ、これが最大の問題です。

もちろん、他社も含めて大量飲酒のパイロットが続々報告されていること、半端じゃないその酒の量に驚くとともに、アル中なのではないだろうか、との疑いも持たざるをえません。飛行機の遅延やキャンセルがパイロットの飲酒のせいだという信じられない事態を見ても、本人のモラルやプロとしての心構えが無い状況は事実であり、検査方法がどうとか、国内基準があいまいだ、などという事は理由にはならず、安全に飛ばす最低限の意識や、お客様に迷惑をかけずに責任をもって操縦かんを握るという意識の欠落がそこにあります。

そういう日々の意識の欠落がお互いにチェック出来ず、ことなかれ主義で、パワハラと言われるからやめておこうとか、自分が悪者になって注意したくない、といった、子供じみた考えに支配されているとしか思えません。もし、イギリス人のバスの運転手や保安官が言わなければ、いつもの事だからとやり過ごしてみて見ぬふりをしていた、ということになれば、この職場環境はいったいどうなっているのか、容易に想像がつきます。一体その延長に何があるのでしょう。自助努力どころか上司が部下のチェックすら出来ない会社環境であり、実に恐ろしい限りです。きちんとこの背景を調べて詳細に聞き取り調査をすべきです。それが出来ない場合はまた繰り返すでしょう。そしてもっと重大なインシデントに繋がります。

狭いコックピット内で、コンピュータでの操縦が簡単すぎて何もすることがない、だからスマホでゲームして遊んでいる、酒飲みでも大丈夫、などと安易に考えているのではないだろうか、または、昔に比べて安い給料で憧れの職業でもない、操縦士に過ぎないからストレスがたまる、とか、いろいろな理由が出てくると思いますが、これらの事態を重くとらえない限り、実態は変わらないと思います。

風通しの良い職場であって、お互いにきちんと意見を言える職場でなければ、飛行機という空を飛ぶ逃げ場のない空間で、責任感のある仕事などできません。

社長も交代したばかりですが、大借金をチャラにしてもらって「飛び続けます」などという倒産会社とは思えない安易な広告を平気で出した能天気な会社の行く末が酒飲み運転とは笑えない話です。増益だとかオリンピックで浮かれる前に襟を正して再出発しなければ世間に見放されて再び倒産する会社への道を自ら作っていることに気づかなければならないのです。

本当に今、パイロットの世界で大きな問題が潜在しているような気がします。