~ある怪談~
- だから言ったじゃないの。もうこの手は古いって。
- 追及したら怖い人が来る、っていうあのことだろ?
- 刺客とか過激派とか赤軍派とか、テロリストとか、オウムとか。「追及する人は怖い人」っていうレッテル張り作戦もダメ?
- もうバレバレ。だめだよ。あの古臭いセリフは使えないよ。
- U村には通じたよ。ばっちりだった。ばかみたいに震えあがって、なんでも言いなりだったよ。
- おまえたちって、慇懃無礼なほど馬鹿丁寧な言葉で教えてあげるからねえ。表と裏の顔、ありすぎだよ。それにしても、あいつは無責任なんだよな。自分は代表権を外して表に立たない。そのくせN財団からもちゃっかり給料を取っている。損失補填で給料どろボーのあの二人、つるんでさあ。ほんとに根性小っちゃいし、ズルすぎる。
- そういうのを芸人根性って昔から言うよ。ていうか、そういうプロでもないしなあ。
- そうそう、有名どころのIさんの名前を使って、後ろ盾に利用してさ。虎の威を借るキツネで、自分は経営手腕なし。でも古巣の飲酒運転隠しは、うまかったけどね。ネット操作も、評判がいいのが上位にくるようにって、そういうことだけ一生懸命頼んでさ。芸能プロダクション並みだよ。
- あんな人が自分の上にいれば、本当に彼も大変だなあ。彼は知性があるだけに、いつも愚痴っているよ。あんないい加減な人間の下で働くのは苦痛だってね。顔つき悪くなったよなあ。
- 上の幡随院長兵衛に気を使い、下のハッカク親方に無用なアドバイスしてもらったって、埒が明かないよ。いっそ、腹くくって、すっきり出しちゃえば良いのに。楽になるよ。
- 便秘じゃないんだから。ダメダメ、また倒産しちゃうよ。ねえ、はしご、はずさないでくれよ。
- いいや、11年前に借りは返した。そうはっきり伝えた。
- それはないよ。あんたは、3年我慢すればいいけど、私らは困る。
- いい加減、親から離れて成長してくれよ。もう独立して30年以上たつんだから。今度は勝手に倒産してくれ。
- 何を言うか。そもそも、そっちが隠せっていったじゃないか。
- いいや、言っていない。おたくらが勝手にワーワー震えていただけだ。
- ねえ、ファーストクラスチケットいる?銀座の会合もそろそろOKだろうし、ハワイのコンドミニアムも使いたい放題だよ。あの財団、隠れ蓑にもってこいさ。なんたって、本体からいくらでもお金出せるでしょ。領収書チェックもないし、楽勝だよ。
- 馬鹿いえ。まだコロナ急増中だぞ。当面使えないチケットなんか、いらないよ。しかも銀座の飲み屋でバレたらいっぺんで首だ。それよりも、あのこと、どうなった?
- ああ、だめだったみたい。あのむすこならお金になびくはずだけど。だんだん、こっちの手口がばれてきたな。ゲンコク潰しは失敗だったね。
- 他に何かあるかなあ。そうだ、決定前のジャッジ、陥れ作戦は?
- 無理だよ。壁に耳あり、障子に目あり。あ、古い表現だねえ。今やどこにもスマホあり。
- 買い上げ作戦は?
- あほだなあ。今更無理。絵本じゃあるまいし。
- 解説書大きな意義のお墨付き権威作戦は?
- 白髪高齢者には、山登りがやっとだよ。財団もこれ以上、請求されてもこまるしねえ。お車代もままならないよ。コロナでお客が来ないから、選挙の献金もきついしね。今度は決まってからにするよ。スカの髪の毛一本増毛でいくら、って言われても困るしねえ。生え際作戦、いいや水際作戦も失敗したし。
- 君たちのようなイメージ企業はつらいねえ。そういえば、あの、航空業界も予防注射、あの時の報道で、コロナの注射打つのに、CAに黒いドレスを着せたのは誰だよ?夜のアルバイトかって笑えたよ。他社のように、普通は制服姿だろう。
- ああ、ちょっと銀座帰りをイメージしすぎちゃって。これもあほな経営者の指示だったらしいよ。馬鹿だねえ~。日本刀好きの読●さんや、ゆすりたかりの新●記者も、銀座だいすきだからさあ~。あれさえあれば、言うこときくしね~。
- もう、いい加減、独立してくれよ。金ばっかりつかうぐうたら息子はいらねえよ。
- そのぐうたら息子を作って、利用したのはおまえたちだろうが。よく言うよ。
- もっとひどいアホバカ息子がうちにいる。本当はあいつが悪いんだ。もとはといえば、あいつのせいなんだ。世論に隠れやがって。俺らに比べればアホすぎるくせに、知ったかぶりして、いい子ぶっている、あいつらだ。
- あれは、あのまま自立させたら、それこそどこかの国と同じさ。なんたって、武器もっているやつが強くなるからね。
- あ、これ以上言うと、怖い人が来るぞ!幽霊か?都市伝説か?はたまた、あいつらか?
- おいおい、その作戦ももう終わったよ。
- そうだったな。次は、「もうやめようよ。古い話だから、終わりにしようよ」って、自作自演の書き込み作戦か?
- 馬鹿いえ。犯人が自分で終わりにしようよ、って言ったのがバレたら、さすがにまずいだろう。
- 大丈夫だよ。なんたって、おまえらにボイスレコーダーを返すような国だから。これって、警察が、殺人犯に凶器を返却して無罪にするっていう感じ?
- 平気でこういうことをする人って、本当にいい人なんだねえ~
- それ皮肉でしょ。良い人って、どうでもいい人ってことでしょ。
- そうそう、そういうひとにばかり、スポットを当てたがる。
- ああ、どうでもいい人は、苦情も来ないし、楽だからねえ。
- 楽が一番さ。そういえば、その昔、うちらの倒産寸前、N放送局のMさんに教えてやったら、「そうですか。実は私の親は介護が必要で、まだ子供も小さい」って、わけのわからないメールがきたよ。そして、出世しやがった。
- だからいやになるよなあ。やっぱり正直に生きようよ!
- おまえはいいけど、おれらは民間だから。
- ねえ、天下りさせてくれる?
- 80年代のセリフ言うんじゃないよ!あれ?なんだよ。録音しないでくれよ。全く手癖がわるいんだから。盗聴マニアのお前たちは信用できないんだよ。またリークする気か?
- これもバレバレか。80年代のままでいたかったなあ。
この怪談の続きは、またの機会に~