「日航123便墜落―遺物は真相を語る・天空の星たちへ」公式ブログ

1985年に起きた日航123便墜落事故を、当時日本航空スチュワーデスとして勤務していた著者・青山透子が、事故の真相を追い求めて綴ったノンフィクション

JAL運行乗務員の大量飲酒逮捕におけるプロ意識のなさ  青山透子

日本航空公式HPより

***2018年10月28日(現地時間)、JL44便(ロンドン・ヒースロー国際空港発、東京国際空港行)に乗務予定だった副操縦士から検出されたアルコール値が、英国の法規に定められた規準を超える疑いが生じ、当該副操縦士は現地の警察当局により拘束されました。
拘束後、あらためて検査が行われ、本日、日本時間の11月1日 午前5時過ぎに現地警察当局より通知があり、検査の結果は英国の法規に違反するものであり、現地警察当局は当該運航乗務員を起訴したことが判明しました。***

この副操縦士は、ワイン1.5リットル以上、ピールを1.8リットル以上飲んでいたにもかかわらず、社内飲酒測定にひっからず、送迎する現地バス運転手に酒臭さを指摘されて逮捕、というおそまつさであったそうだ。社内検査のいい加減さもさることながら、私の最大の疑問は、出発前のブリーフィングや顔合わせ、地上職(運航管理者)との飛行ルート打ち合わせ等、出発前に顔を突き合わせて仕事をする人たちによるチェックが全く機能しなかったのか?、それとも気づいても知らんぷりなのか?という点である。旅客機まで移動するバス内で運転手が気が付くほどのアルコール臭であれば、同じバスに乗る人達も当然に気づく。通報されて逮捕されるまで、なぜ仕事仲間たちは、彼をほったらかしだったのか、最大の疑問である。さらにこれほどのアルコールを飲酒しているとすれば、常習犯の可能性もあり、この会社の体質や、プロとしてあるまじき姿を浮き彫りにしたと思われる。

同様に、全日空でも11月25日に沖縄那覇空港、石垣など5便に遅れが出た原因が、やはり機長の前日飲酒による体調不良であったと、31日に発表がなされたが、ずいぶんと日にちが経ってから発表することに違和感を感じた。

もしかすれば、こういう発表は印象が悪くなるので、発表をしたくない、という意識が働き、両社の隠ぺい体質が浮き彫りとなったのではないだろうか。

乗務開始の12時間前は飲酒禁止が社内規定にある。大昔はなかったそうだが、近年は禁止であり、この全日空の機長も4つの飲食店で飲み続けてしまった、と語っている。

いずれも、社内規定を認識しているにもかかわらずだ。

こうやって、いい加減さや態度もルーズになっていくその先にあるのは、安全運航への意識の低さである。

 

29日にはインドネシアのライオン・エアーJT610便がジャカルタ沖に墜落して189人が亡くなった。真新しい飛行機で事故歴もないようだが、ようやくブラックボックスが回収されてこれから事故原因が解明されていくだろう。

当然のことながら、事故原因はブラックボックスのフライトレコーダーやボイスレコーダーを読み取り(これが2週間ほど)、解析分析(これが2か月ほど)を行ってから決まる。なのに、1985年の日航123便墜落の時は、まだ何も分析していない4日後の8月16日に、毎日新聞夕刊にてスクープ記事として、圧力隔壁破壊原因説が出た。

誰が、何の目的でこの事故原因を唐突に出したのか、そしてそれを出させたのか、当時は事故調の委員長でさえ当惑し、その後委員長は辞めた。このいきさつは異常であった。

この、いい加減なスクープ記事を書いたマスコミの人間、それになびいていった人達もプロではない。

どの分野においても、人の命を預かる仕事をしている人間は、プロとしての自覚を失ったときから崩壊が始まる。組織もそうだ。

JALANAもプロ意識に欠けたパイロットが次々と出てくる事自体が問題だと感じる。そしてそれを許す環境にあることが大変遺憾である。

そのうち、眠気を飛ばすからと、以前問題となった深夜バスの運転手同様に大麻を吸いながら操縦するパイロットも出てくるのではないだろうか。

その裏に何があるのか、しっかりと検証していかければ安全など保てない。

安易に悪しきに流れていく人間たちに、逃げ道を作ってはいけないのである。

自意識を高く持つプロを育てていくことも未来にとって大切な仕事だ。

英国におけるパイロットの今回の逮捕を重く受け止めなければならない。