「日航123便墜落―遺物は真相を語る・天空の星たちへ」公式ブログ

1985年に起きた日航123便墜落事故を、当時日本航空スチュワーデスとして勤務していた著者・青山透子が、事故の真相を追い求めて綴ったノンフィクション

22年目の歴史的講演 早稲田大学にて 青山透子

皆さん、22年前は何を考えて何をしていたのでしょうか?

もちろん、まだ生まれてくる前の人は無理ですが、幼子時代、学生、社会人、留学、新婚時代、子育て、バリバリ仕事三昧等々・・いろいろな場面を思い浮かべながら、その頃の自分と向き合って、ちょっと思い出してみてください。

人生において、本当に良き出会いからは、思いもかけないことが生まれるものだと実感しています。

私は22年前、水島朝穂氏の講演「新たな核時代における日本国憲法ヒロシマ、オキナワ、ベルリン、そしてチェルノブイリの現場から(渋谷にある司法試験伊藤塾オープニング初講演)」を最前列の席で受講しました。その講演の中で水島先生が何気なく日航機墜落の話をされたのです。偶然にも日航123便の話が出てきたのでビックリ仰天したのを思い出します。そして講演終了後に「私の先輩方があの日航123便の墜落で亡くなりました」と言いに行きました。その後、いろいろな疑問を書いた詳細な手紙のやり取りや、先生が推薦して下さった本を次々と読んだのが全ての始まりでした。

あれから22年間、様々な場面で水島先生に教えて頂き、議論出来たことが、今の本を書くきかっけとなったと思っています。様々な出会いが化学反応を起こして新たなものを創り上げるのかもしれません。

その頃の私は既に客室乗務員を退職しており、各企業の新入社員研修や人材教育、航空業界関連の授業、博覧会接遇教育に携わりながら、ちょうど家族の関係で米国と行き来していた時代です。時間的余裕が出てきたこともあり、もう一度学生に戻り、学問をしたいと思っていました。さらに、かねてから気になっていた日航123便について学び始めていた頃だったのです。

出会いというものは、本当に不思議なタイミングがあるものです。こうして私は、3冊の本を執筆するに至りました。

そして先日、早稲田大学の水島教授のゼミにて講演を行ったのです。まさか22年後に水島先生のところで私が講演を行うとは夢にも思いませんでした。さらに1985年には、まだ生まれてくる気配すらなかった学生の皆さんの前で私の3冊の本をもとにして話をするまで、受講者の学生たちの年齢位、22年間かかったということ、これも事実。

歴史的ともいえる瞬間に感無量でした。

単なる私のような一市民であっても、一つの信念をもって学問的追究をすることで、何かが見えてくること、真実の解明が可能であることを、これから社会に出る学生の皆さんにわかってほしいと思いながら話しをすることが出来たのは本当に嬉しい限りです。

事前に拙著を読んで下さっていたようですが、詳細なデータや写真をお見せするうちに、皆さん一人ひとりの顔つきが変わり、より一層真剣に聴いてくれていることが伝わってきました。

こういった大学での講演会は教授会の承認を得て私の経歴、職歴、学歴を提示し、東大法学部、慶応医学部、東京外大、立教大大学院などで、日米安全保障問題や社会哲学、大災害現場の安全神話などをテーマにする教授や医師たちからの依頼で行っています。

学術使用の許可を頂いた未公開資料を提示して、事実のみを丁寧にわかりやすく説明しながら自ら考えてもらう、また、当時の薄茶色になったかび臭い新聞記事も多数持参してリアリティをもってもらうことを心掛けています。さらに524名全員の座席表を回覧して見てもらい、これだけ多くの人達の命が一瞬で消えてしまった事実と向き合いながら、曖昧な事故調査報告書から見えてくる様々な疑問や、未来への記録としての公文書の有り様、現在及び未来の国民への正確な記録を担保する必要性、民主主義の知る権利として正しい判断をする為の正確な公文書でならなければならないといった話をしています。

 

過去を直視して目を背けず、それぞれの場において迎合ではなく協調性をもった独立した精神で生き抜くこと、過ちの多いこの世の中でそれを心がけて生きていくことが不可欠であり、それが良い未来を創る基礎となると思っています。少しでもそれが伝われば本望です。

それにしても、22年間の数々の出来事を振り返りながら、本当に嬉しいひと時でした。

 

 そして拙著を通じて沢山のお手紙を有難うございます。

皆さまのお心のこもった手紙の向こう側に皆さまの人生も見えてきます。

あの事件に関係したそれぞれのドラマがあり、忘れられない瞬間や長い年月の想い出があるのだなあとつくづく思いながら読んでおります。そしてお手紙を下さる方々の意識の高さと読解力の高さ、また、社会において誠実に仕事をなさっていらっしゃる人達が読者に多いという事実。その方々が私の本をしっかりと読み、理解して下さっているということに、逆に私のほうが励まされております。

本を通じた良い出会いに心から感謝いたします。